解決事例・裁判例

当事務所の解決事例および重要な裁判例をご紹介します。

解決事例①(東京地裁平成23年3月28日判決)

災事故の過失相殺の判断において、被告が原告の過失割合を50%であると主張したのに対し、被告には法令を無視した著しい義務違反があったとして、原告の過失割合を10%とした事例。

事案の概要 原告は,被告の従業員として、工場内で,天井の鉄骨に立てかけた梯子に登って,地上約4メートルの高さで屋根裏部分の塗装作業に従事していた。作業中,梯子が天井の梁の鉄骨から滑り落ちて外れたため,原告は梯子ごと落下し,背中から梯子の上に落ちて背中を強打し、第一腰椎破裂骨折の障害を負った(障害等級11級の5)。原告の損害賠償請求に対し、被告は、原告が高所での本件作業の危険性を認識しながら、自ら梯子を設置し、滑りやすい状況下で本件作業を継続したとして、50%の過失相殺が認められるべきと主張した。
裁判所の判断 被告が原告に対し,不法行為に基づき,損害賠償責任を負うべきであると認めたうえで,原告にも梯子の設置方法について過失があったが,被告には、作業床を設置せず、防網の設置や安全帯の使用をしなかったなど、法令を無視した著しい義務違反があったとして,原告の過失割合を10パーセントとした。

裁判例①(最高裁判所平成24年2月24日判決)

労働契約上の安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求において、弁護士費用が因果関係に立つ損害と認められた事例。

事案の概要 原告は、被告の従業員として、プレス機の操作中、プレス機に両手を挟まれて両手(指)挫滅創の傷害を負い、両手の親指を除く4指を失うという後遺障害を負った(等級5級)。よって、原告は、被告に対し、労働契約上の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求した。原審は、原告が主張する損害のうち、弁護士費用については、失当であるとして、これを棄却した。そこで、原告が上告受理の申立をした。
裁判所の判断 労働者が使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求するため、訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、上記安全配慮義務違反と相当因果関係に立つ損害というべきである。
 

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